はじめに
フィルムカメラで撮影を楽しむとき、露出計は欠かせない道具のひとつです。デジタルカメラなら液晶を見ながら調整できますが、フィルムでは撮った後に確認できません。そこで活躍するのが SEKONIC STUDIO DELUXE(セコニック スタジオデラックス)です。
私が実際に使ってみて感じたのは、露出を「計算」するだけでなく「写真の感覚」を育ててくれる不思議な道具だということでした。
SEKONIC STUDIO DELUXEとは?

SEKONICは日本の光学機器メーカーで、露出計の定番ブランド。その中でもSTUDIO DELUXEは、古くからプロや愛好家に使われ続けてきたアナログ式の入射光露出計です。
- 針がアナログで動く直感的な操作
- 電池不要で半永久的に使える
- シンプルなダイヤルで感度やシャッタースピードを設定
この「電池いらず」という点がとても頼もしいです。フィルムカメラと同じく、余計なものに頼らない潔さを感じます。
使い方

SEKONIC STUDIO DELUXEは操作がシンプルなので、慣れると数秒で計測できます。
基本的な手順
- ISO感度を設定する
ダイヤルを回して、使用するフィルムの感度(例:ISO100, 400など)に合わせます。 - 光球(白い半球)を被写体に向ける
測りたい位置に露出計を置き、カメラの方向ではなく「光源に向ける」のがポイントです。 - 計測ボタンを押す
針が動いて止まるので、その値を確認します。 - ダイヤルで値を合わせる
針が指した値にダイヤルを合わせると、適正露出のシャッタースピードと絞り値の組み合わせが表示されます。 - カメラに設定する
表示された組み合わせの中から、自分の意図に合ったものを選んでカメラに設定します。
使い方のコツ
- 人物撮影:被写体の顔の前で計測すると自然な露出に。
- 風景撮影:地面や主要な被写体の上で計測すると安定した結果が得られます。
- 逆光時:被写体に当たる光で測れば、シルエットにならずに表情を残せます。
High と Low の使い方
STUDIO DELUXE には、光の強さに合わせて 「High」モード と 「Low」モード の切り替えがあります。
Lowレンジ(通常はこちら)
- 屋外の晴天・日陰、室内の自然光など、一般的な明るさで使用。
- 基本的には最初に Low で計測すればOK。
Highレンジ(強い光用)
- 真夏の直射日光下、雪原や海辺など、非常に明るい環境で使う。
- Lowで計測すると針が振り切ってしまう場合に High に切り替える。
使い分けのポイント
- まずは Low で測る
- もし針が振り切る(スケール外に行く) → High に切り替える
- Highでは露出値が1段階変わる仕様なので、必ずダイヤルの「High用スケール」を読む
実際の例
- 屋内ポートレート → Lowで十分
- 曇りの屋外スナップ → LowでOK
- 真夏の砂浜や雪山 → Highに切り替えて計測
実際に使ってみた感想
光を測る楽しさ
カメラに内蔵された露出計では「反射光」を測るのが一般的ですが、STUDIO DELUXEは「入射光」を測る露出計です。被写体に光球を向けて計測すると、実際にその場所にある光の量をダイレクトに知ることができます。
これがとてもシンプルで、撮影現場で「今、この光でどう撮れるのか」を直感的に理解できるんです。
撮影スタイルが変わる
この露出計を使うようになってから、「光を観察する」時間が増えました。太陽の高さや雲の厚さ、窓からの自然光の入り方など、肉眼で見る光の美しさを意識できるようになったのは大きな収穫です。
メリットとデメリット
✅ メリット
- 電池不要で壊れにくい
- アナログの針とダイヤル操作が直感的
- 光を「観る力」を養える
⚠️ デメリット
- 暗い場所では精度が落ちやすい
- 慣れるまで数値の読み取りに時間がかかる
- サイズ的にポケットには少しかさばる
それでも、フィルム撮影と同じように「手間を楽しむ」道具なので、この不便さすら魅力に感じてしまいます。
まとめ
SEKONIC STUDIO DELUXEは、単なる露出計を超えて「光を感じるための道具」だと思います。フィルムカメラの世界観ととても相性が良く、使うほどに撮影が楽しくなる一台。
デジタル世代の人にこそ、一度手に取って体験してほしい名機です。
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